さて、一般にバリアフリーの技術は、衣食住関連(住宅設備や建物、エスカレータなどの移動環境、衣類、食生活など)

まず、音声認識という技術の利用から。手や足が動かなくても、声でコンピュータや車椅子を動かすことができたらいいな。これを実現しようというのが「音声認識」という技術です。音声認識はすでに一部の分野や機械では実現されています。たとえばカーナビで行き先を教えたり、電話で飛行機の切符を買うときの自動音声システムなどがあります。これらはゆっくりと、はっきりと話してやれば結構使えます。パソコンの操作に使えるものも販売されています。
音声認識は、声の音波の形などを読みとって、機械が持っている知識(辞書といいます)と比べてみてそれが何の音かを判断します。音声認識が難しいのは、人間の声は実にさまざまで、さらに、言葉というものがさまざまだからです。声はもちろん人によって違いますし、同じ人でも風邪を引いたりすると声が変わってしまいます。これを同じように認識するのは機械にはなかなか難しいのです。人間同士なら、鼻が詰まっていて「デバ、ハヨウダラ」となってしまっても、もしお別れのときであれば、たいていはちゃんと「では、さようなら」と分かります。話の途中で「ヘークション!」とくしゃみをしても、相手はそれを無視してくれます。でも機械ではまだそこまで意味を理解して音声認識をするのは難しいのです。パソコンの操作のときにはもしかしたら「ファンクション」と間違えて何かとんでもない命令が働いてしまうかもしれません。「ヘークション! とはなんですか?」と聞いてくるかもしれません。文字の入力中だったら「百姓」と入力されてしまうかもしれません。
まあ、パソコンの操作や文章の入力ならこの程度なのでまだいいですが、車椅子の操作となるとちょっと危険ですね。音声認識電動車椅子で一人で出かけているとき、横から自転車が急に飛び出してきた。「止まれ」といえば車椅子は停まるのだけど、びっくりして「ひゃあ」とか「うわっ」とか叫んでしまうと、車椅子はなんだか分からず、停まりません。せいぜい「ひゃあ、とはなんですか。もう一度言ってください。」と言ってくるくらいで、そんなことしているうちにぶつかってしまうでしょう。
しかし音声認識の技術は着実に進歩しています。近い将来の実用的なバリアフリー技術のトップバッターとも言えます。
では、次回は「脳波によるパソコン操作」について。
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